キャリアニュース2024年7月28～8月3日

「博士としての能力を評価してもらえて良かった」。2023年に大手製薬会社に入社した研究員の男性（31）は、約1年間の就職活動を安堵の表情で振り返る。国立大学大学院の博士課程を修了し、2年間を任期付きの博士研究員（ポスドク）として研究に励んだ。専門は創薬につながる可能性のある「糖たんぱく質」の研究だった。キャリアパスについて本格的に考え始めたのは、ポスドクになって1年がたった頃だ。ボスの教授か

日本の研究力低下が深刻になる中、博士課程進学者の減少がその一因だとされている。政府は、博士課程学生の処遇向上、博士のキャリアパス整備に取り組んでいる。2024年の経済財政運営と改革の基本方針（骨太の方針）は、博士号取得者の幅広い活躍の場の創出につながる取り組みや処遇向上を進め、博士人材を世界トップ水準並みに引き上げるとしている。文部科学省の「博士人材活躍プラン」は、日本の人口当たり博士比率が主

技能実習生の最大の送り出し国ベトナム。特に日本行きの希望者が多かった中部ハティン省で異変が起きている。来日前の実習生らが学ぶアラジン日本語センターでは、新型コロナウイルス流行前の2019年に200人いた学生が今は80人しかいない。現地で就職すれば月給3万〜4万円といい、若者の海外志向は強い。それでも韓国などの人気が上昇し、日本を目指す動きは以前ほど強くない。グエン・ヴァン・クエットCEO（最高

総務省が24日発表した2024年1月の人口では、住民の「10人に1人」が外国人である市区町村が前年の2倍近くの14に拡大した。都市から地方まで幅広い地域で外国人が産業を支えている。日本経済の持続的な成長に欠かせず、定着への環境整備が求められる。【関連記事】政府は2019年に在留資格制度「特定技能」を創設するなど外国人の受け入れを進めてきた。総務省の発表では24年1月の外国人住民は332万337

日本の大学は理系学部に女子学生が少ない。偏りの是正が難しい中で入試に「女子枠」を設ける大学が増えてきたが、賛否は割れる。大学と社会は何を変えるべきか。2026年度入試から女子枠を設ける京都大の国府寛司理事・副学長（入試担当）と、理系女子が少ない理由を研究してきた横山広美・東京大教授が遠隔で対談した。――理学部や工学部の女子学生比率は京大も東大も1割前後にとどまります。何が原因でしょう。国府　

カンカン照りの猛暑が続く中、カフェ「黄金堂パーラー」は涼を求めるお客でにぎわっています。常連の新佐初と愛の親子が店内のテレビに目を向けると、大学の授業料の値上げについて報じられています。初が「教育費は大変なんだよな」とつぶやきます。新佐愛　お父さんとお母さんが学費を払ってくれるおかげで大学生になれたよ。今年の夏休みはアルバイトするよ。奨学金で大学に通う親友がバイト先を見つけてくれて、申し込んだの

経済産業省は世界で獲得競争が激化する高度外国人材の受け入れ強化に向け、近く報告書を公表する。給与の水準や体系、行政・医療サービスといった生活環境に課題があるとして、企業や自治体に対応を促すことで受け入れ土壌の整備につなげる狙いだ。2023年に立ち上げた有識者による研究会の議論や企業へのインタビュー結果を取りまとめた。報告書では日本の大卒1年目の平均年収が米国やシンガポール、韓国などよりも低い